WRAP(ラップ)はアメリカの精神障害をもつ人たちによって作られた
リカバリー(元気回復)に役立つツールです。日本語では「元気回復行動プラン」と呼んでいます。
元気でいるために、
そして気分がすぐれない時に元気になるために
また自分で責任をもって生活の主導権を握り、
自ら望むような人生を送るために、
あなた自身でデザインするプランがWRAPです。
メアリー・エレン・コープランド
「WRAP(ラップ)」とは、Wellness(元気)、Recovery(回復)、Action(行動)、Plan(プラン)の頭文字を取ったものです。毎日を元気で豊かに生きること、さらに気分を乱すような状況への気づきを高め、調子が悪くなったときに回復を促す行動プランです。
WRAPは精神的な困難を抱えた人達が健康であり続ける為の知恵や工夫を蓄積して作られたセルフヘルプツール、つまり、自分で作る自分のためのリカバリープランです。
自身も精神障害を持つメアリー・エレン・コープランド氏を中心に精神障害のある人たちによって作られ、現在、世界中で活用されています。
日本ではWRAP研究会が、「元気回復行動プラン」と翻訳しています。
そして、行動プランをより具体的な形で作成します。
・元気な状態が維持されるような規則正しい 生活習慣を作成する
・不快な気分や行動を把握し、気分が良くなるための行動プランを作成する
・とても気分が悪く、自分自身で物事を決め ることができない場合に、他の人に何をして欲しいか予め伝えておき、自分自身が 安全でいられるようにする
「このような時にはこうする」と細かく決め、行動のリストやを記入し、自分だけのプランを作っていきます。自分で考えるだけでなく周囲の意見をもらうことで、より現実的なものにしていく作業を繰り返します。
このようにWRAPは、各自、自分に合った対処の仕方によって辛い症状を軽減したり、予防したりする実践プランであり、認知行動療法やSSTのような教育的・訓練的要素の強い手法とは大きく異なると言えます。
WRAPは、精神障害を持つことにより将来を諦め用心して再発を防ぐことよりも、リスクはあっても希望を持ってチャレンジしていく、という考え方が根底となっています。このようなチャレンジを本人や支援者が実感できる点が大きな魅力です。
WRAPを作るうえでコープランド氏は、元気で豊かな暮らしを実践している人々に共通する点を抽出しました。それは、①希望②責任を持つこと③学び④自分自身の権利擁護⑤サポート、の5つで、これらがリカバリーにとって必要な要素としてWRAPの考え方の基になっています。
希望
リカバリーへの鍵であり、元気になれる希望がある、目標に向かって前進し達成することができる、将来に対して悲観的にならない、という考え方です。
責任を持つこと
“自分で選択する”という責任を引き受けることで人生の主導権を自分の手に取り戻すことができます。自分自身が自身の専門家であり、健康や生活に対して責任を持つことが重要だという考え方です。
学び
知ること、学ぶことで、自分にとって適切な決定をすることができるという考え方です。
自分自身の権利擁護
自分自身を知り、目標を設定し、それに向かって前進する。そのために必要としていることを勇気をもって声にし、人々と対話することで自分の権利を守ることが必要である、という考え方です。
サポート
自分が必要とするサポートを、自ら手を伸ばして得ることだけでなく、お互いがお互いの力になるような関係性を育むことが大切である、という考え方です。